学習

公認会計士が説明する(新築・中古)投資用マンション節税の比較解説

中島悠太

投資目的・居住目的で不動産購入を検討中で
経験者に相談したい方は以下より

今回は、新築マンションと中古マンションでどのように節税が変わってくるのかを説明していきたいと思います。なぜワンルームマンション投資によって節税できるかなどの基本的な情報については「公認会計士不動産投資家が教えるワンルームマンションの節税法」の記事でご説明しているのでそちらをご参照ください。

ワンルームマンション投資によって節税ができる要因は、減価償却が挙げられます。以前までは、定率法によって償却されていたため、節税効果が大きかったのですが、現在では定額法によって償却されるようになったため、節税効果は薄れているように思われます。しかし、新築・中古という視点からみればまだ節税の余地はあります。

⒈減価償却の計算方法

ご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、減価償却の計算方法は以下のようになります。

(定額法)
①物件価格÷②耐用年数=減価償却費

この計算式から、減価償却費を大きくするためには、①物件価格を大きくするか②耐用年数を短くするかです。以下でそれぞれをみていきます。

① 物件価格
ここであえて物件価格というふうに記載しましたが、正確には「償却可能物件価格」です。これはどういうことかと言いますと、ワンルームマンションを購入すると、部屋だけでなく同時にそのマンションの土地も購入します。土地というのは、非償却資産と言い、減価償却が発生しません。建物については、経過年数に応じて老朽化し、価値が減少するのに対し、土地は年数が経過しても価値が減少しないからです。

では、不動産の物件価格は建物と土地の価格の合計額なのでしょうか。正確に言うとこれも違います。建物価格の中には「建物附属設備」が含まれています。「建物附属設備」とは、ガス設備や冷暖房設備等、建物に附属して機能する工作物です。

まとめると不動産物件は以下の3つから構成されています。

  • 土地
  • 建物
  • 建物附属設備

先ほどの話だと、「償却可能物件価格」を大きくするということですので、建物か建物附属設備の金額が大きくなると効果は大きそうです。(次で説明しますが、建物附属設備の方が耐用年数が短いため、建物附属設備の金額が大きい方が有利です。)

金額合計金額は購入する金額ですので、着目するのは構成比率です。どのようにこれらの割合が決まっているのか。これらは不動産会社が決めているのです。不動産会社によっては、新築は割合を決めるが、中古に関しては購入者(オーナー)が決めるというところもあります。

まとめると、①物件価格という面では、不動産会社を選ぶことで償却可能物件価格を大きくすることはできるが、新築中古の観点では大きな差は無さそうです。

② 耐用年数
耐用年数とは、法的に決められた減価償却の算定基準であり、例えば耐用年数が5年であれば、5年で減価償却を行い、5年後の帳簿上の価値はゼロになります。この耐用年数というのは、建物の構造や用途によって異なります。ワンルームマンション投資に主に関わる耐用年数は以下の通りであり、基本的にRCと建物附属設備だけ知っていればいいかと思います。

  • RC (鉄筋コンクリート)造・・・47年
  • 重量鉄骨造・・・・・・・・・34年
  • 軽量鉄骨造・・・・・・・・・27年
  • 木造・・・・・・・・・・・・22年
  • 建物附属設備・・・・・・・・15年

ここで、新築マンションと中古マンションの違いはどこに現れるのか。上記の耐用年数は法定であり、新築を想定しています。中古の場合は以下のように計算されます。

(取得時点で法定耐用年数の全部を経過している場合)
その法定耐用年数の20%に相当する年数

(取得時点で法定耐用年数の一部を経過している場合)
その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数

(例)
法定耐用年数が20年で(1)30年経過している場合、(2)10年経過している場合

(1)30年経過している場合
30年×20%=6年

(2)10年経過している場合
(20年–10年)+10年×20%=12年

ここから、新築マンションと中古マンションでどれだけ減価償却費が異なるかを計算してみます。仮に、金額が全く同じ新築マンションと中古マンション(築15年)があったとします。

土地15,000千円 建物10,000千円、建物附属設備5,000千円 計30,000千円
(構成比率は仮です。)

【新築】
【減価償却計算】
建物 10,000千円÷47年=212千円
建物附属設備 5,000千円÷15=333千円
計545千円

【中古】
【耐用年数計算】
建物 (47年–15年)+15年×20%=35年
建物附属設備 15年×20%=3年

【減価償却計算】
建物 10,000千円÷35年=285千円
建物附属設備 5,000千円÷3年=1,666千円
計1,951千円

上記のように新築と中古で1年間約140万円の節税効果が異なります。その他の条件は考慮に入れていませんが、これだけ見ると新築マンションよりも中古マンションの方が良さそうにみえます。

【参考】
現在は使用されておりませんが、以前までは建物付属設備に定率法という方法が使用されていました。
定率法とは、毎期一定の償却率をかけて償却する方法です。仮に建物附属設備5,000千円で償却率40%の場合、減価償却費は以下のように計算されます。

1年目 5,000千円×40%=2,000千円
2年目 (5,000千円–2,000千円)×40%=1,200千円
3年目 (5,000千円–2,000千円–1,200千円)×40%=720千円
・・・・・

のように初年度の減価償却費が大きく段々減少していきます。これも耐用年数の違いによる節税効果と同じように、節税の前倒しという効果がありました。

⒉減価償却による節税の性質

これまでで簡単に新築マンションと中古マンションによって節税効果が大きく異なることがわかりました。ここで、気づいた方がいらっしゃるかと思いますが、減価償却費による節税効果はあくまで「節税額」は変わらず、「節税の前倒し」ということです。物件価格は大きく変わらず、耐用年数が変わることによる違いのため、節税の額が早く来るだけで、長期で見たときの節税額は変わりません。ただ、この節税の前倒しにこそ効果があります。少し、経営学や金融の話になりますが、「現在価値」という考え方があります。

みなさん、今か5年後に100万円くれると言われたらどうしますか。私は今欲しいと思います。それは、今100万円もらって仮に利回り3%で運用したら複利で5年後には115万円になります。15万円も異なります。この考え方に基づくと、理論上、同じ金額だったら将来よりも今の方が価値があるということになります。
「節税の前倒し」も同じ理論です。直近で税金の支払額が減少するということは、いまの余剰資金が増えるということです。これを運用すればさらにお金は増えていきます。結果、単純に節税額は変わらなくても、運用してお金が増えると考えたらみなさんはどちらをとりますでしょうか。

以上より、私はできるだけ減価償却を圧縮し、節税効果を高めたほうがいいと考えております。これらはあくまで、私個人の考えですので、全てが正しいという訳ではございませんが、ご参考になりましたら幸いです。貴重なお時間をいただき最後までお読みいただきありがとうございました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
中島悠太
会計士

投資目的・居住目的で不動産購入を検討中で
経験者に相談したい方は以下より